CDとレコードの音質について
CDとレコードの音質の違い
CDとレコードの音質の違い
CDとレコードの音質について
結論から言ってCDの高域はレコードに比べて音質が劣ります。CDは中、低域は分解能に優れ、華やかに聞こえますが、高域はサンプリング周波数が低すぎて質が悪く、心地好い音とはいえません。
CDの再生周波数は22KHzまで可能ですが、それは質を問わなければ可能というだけで、1か0、つまり有るか無いかという低レベルの音になります。
日曜の朝のTV番組の調査でCDとレコードを聴いた時、「人の脳波に違いが生じるのか?脳波測定の専門家が調べました。被験者にはどちらがレコードなのかを伝えず、約2分間測定を行い、α波とβ波を比較しリラックス時に出るα波と、緊張時に出るβ波の比率を調べたところ、測定した7人のうち、5名の方がレコードを聴いたとき、α波の優勢率が増え、β波の優勢率が下がり、レコードの方がリラックスできることが分かりました。」とあります。
追記 : NHKの番組ヒューマニエンス2021/3/9放送では皮膚が20KHz以上の音を感じ取り、快さを生み出すとありました。
たしかにCDの音を聞いていると聴き疲れして癒されないことがあります。
番組ではCDは帯域は20KHzまでで、レコードは20KHz以上の音が出せるので、その聞こえない高域がリラックス効果を生むと解説していましたが、本当にそれだけでしょうか?
CDとレコードでは何が違うのか?
私が昔エンジニアだったころに、D級アンプの開発(産業用途でオーディオ用ではありません)した経験があり、その経験からデジタルのCDとアナログのレコードの音質の違いについて考えてみました。
ウィキペディアのCDサンプリングについて以下のような記述があります。
「音楽CDで使用されるサンプリング周波数は44.1kHzであるため、直流から22.05kHzまでの音声波形を損なわずに標本化できる。あらかじめ、カットオフ周波数20kHzないし22kHz程度のローパスフィルターで前処理が行なわれているが、人の可聴域の上限20kHzにほぼ一致しているため、実用上問題なく音声を再現できることになる。」
注1:上記のローパスフィルター前処理とは折り返し雑音対策のために行う処理のことで、下記に記載したローパスフィルターとは役割が違います。
注2:標本可とは1か0かが分かるだけで質は問題にしていません。音楽再生にとっては実用上は大いに問題ありです。
音楽CDで使用されるサンプリング周波数は44.1kHzで、理論的に22KHzまで再生できますが、音質面ではこのサンプリングが高域と中・低域ではどのように影響するのでしょうか
よく説明に使われる図として下の左のような図が使われますが、下図の例では細かくサンプリングされているので、元の波形に戻すのは問題なく綺麗に戻るでしょう。(下手な図で申し訳ありません)
デジタル化(量子化)されたものは下図のように階段状になりますが、ローパスフィルターで整形(高調波成分が取り除かれ)され元の波形に戻ります。
上の図は1周期当たり17回サンプリングしているので約3KHz程度の中域の音を示した図になりますので、中域以下は細かくサンプリングされますので音質的には問題ありません。
ところが22KHzの音は44KHzでサンプリングすると、1周期でたったの2回しかサンプリングされません。
それが下に示す図です。
サンプリングのタイミングを縦矢印で示します。
荒くサンプリングされた波形データは、再生時にD/A変換で一旦は矩形波(真ん中の図)になりますが、ローパスフィルターにより整形されて元の波形(右図)に戻ります。
これであれば何ら問題ないように見えますが、ところがたったの2回といううことはタイミングによっては低いレベルをサンプルして、下図のような状態にもなるということです。
見てわかるように元の波形より小さくなります。つまり高域ではサンプリングが荒いため実質的には元の波形に戻すことはできないのです。
もっと大きな問題があります。
一旦矩形波になりますが、矩形波となった波形には大きな2次高調波、3次高調波が含まれます。
この高調波をフィルターで取り除くわけですが、急峻なフィルターでも2次高調波を全て取り除くことはできませんので、実際にはかなり歪んだ波形(ほとんど矩形波)になります。
また急峻なローパスフィルターにすると出力インピーダンスや周波数特性にも悪影響を与えます。
加えて10KHzの音では4回サンプリングですからまだまだサンプリングが荒く矩形波に近い波形になりますので、2次高調波が含まれます。
10KHzの2次高調波は20KHzですからローパスフィルターで取り除くことはできません。倍音だからいいのだとは言えません。偽物の音なのです。
このように44KHzというサンプリングは非常に荒いサンプリングでとても聞けた音ではないということです。
これがCDの音で聴き疲れを起こし少しも癒されない原因の1つとなるわけです。
ではレコードはどのようになっているのでしょうか。
自然の音声は周波数分布において、高音域は音圧レベルが低く、(省略)・・・低音域は音圧レベルが高く、波形の振幅が過大であると隣接する音溝にも影響し、盤面の溝の送りピッチを大きくする必要が生じて、収録時間が短くなります。そのため、レコードでは原盤のカッティング時に、低音域を減衰させ高音域を強調して記録します。(Wikipediaより)
つまり周波数特性としては下図のような状態となり、情報量としては低域が少なく、高域は情報が多い状態であると言えます。
再生時には上記の逆に高域を下げ、低域を持ち上げる処理を行いますが、低域はもともと情報量が少ないので持ち上げても豊かな低音とはなりません。
中身がスカスカのポップコーンのようなもので、レコードの低域が物足りない感じがするのは、この影響といえます。
高域はというと、多い情報を圧縮し再生しますので綺麗な澄んだ音を再生することが可能となります。
加えてCDには無い20KHz以上の音も含まれています。
CDは低域の情報が多く、高域は情報が少ない。レコードは低域の情報が少なく高域の情報が多いという、デジタル/アナログということだけではなく、情報量という側面から見てもCDとレコードは全く逆の特性を持ったメディアであることがわかります。
通常のCDはサンプリング周波数が低すぎて高域の音質が悪く、レコードの方が音質的にメディアとしては優位であると言えます。
ただし、レコードを超える媒体として192KHzのハイレゾであればCDの欠点を補い良質な高域の再生が可能となります。
2014年4月
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